天智天皇と腹赤① きっかけはコメント

低緯度オーロラと「腹赤駒」と「腹赤魚」について、考えたことを書く。

きっかけは、あるブログへのコメントだった。


それは次のようなやりとりである。
(アスタリスクが私で、この時は非公開。)

Commented by ******* at 2016-12-19 23:09 x
侑子ですこんばんは。

過去記事で、中大兄皇子の観相をしたのは道昭ではないかと推理されていたのは衝撃でした。

釣殿宮に宸翰があったという伝承(『南筑明覧』で見ました)から、腹赤という天意がよほど嬉しかったのだと思いましたが、乞食の相があったとして一体誰がそれを観たのかずっと疑問でしたので。

自分の勝手な妄想として、白村江での敗戦を乞食の相に仮託してごまかしたのではないかしら・・・などと考えていたのですが、道昭の存在に気づいてみればなるほどです。

660年(byウィキペディア)の帰国は筑紫に上陸だったでしょうから、しばらく首羅山に滞在していて元興寺に禅院を建てたのが662年(by『三代実録』)、ばっちり重なっていますね。ドキドキです。


Commented by lunabura at 2016-12-20 19:48
興味深い話をありがとうございます。
ところで、「腹赤」の天意とはどのようなものですか。
教えてくださいませ ( ..)φメモメモ


Commented by ******* at 2016-12-20 22:03 x
『儺の国の星拾遺』156ページ下段に、天武帝の頃は極光赤気(低緯度オーロラ)を「腹赤駒(はらかのこま)」と表現したと書いてありましたので、その名を持つ魚を献上されたら吉兆と捉えたのではないかと思いました。
大伴御行の「大君は神にし坐せば赤駒の~」の歌は、従来の解釈ではなく、この本に書かれていることが本来の意味だと思うのです。

また、同ページに“北辰を腹赤星(はらかのほし)と言う”とも書いてあり、北辰と言えば天帝の在所ですから、腹赤を手にすることは天子の座を手にする事に通じるのではないかと思い、天意と表現してしまいました。ちょっと飛躍しすぎでした。
占として成立し、ここで放浪の決着を見たのだなぁと理解している次第です。


Commented by lunabura at 2016-12-20 22:07
それは見落としていました。
貴重な話をありがとうございます!


Commented by ******* at 2016-12-21 22:33 x
吉野「国栖奏」の御神饌に腹赤の魚が欠かせないことや、宮中行事の「腹赤贄」など、お腹の赤い魚がどうして尊重されるのかずっと疑問だったのですが、このページに行き当たってようやく合点がいったのでした。
「腹赤駒」に通じるから、と考えれば納得です。

應神帝から天武帝までの間吉野は国栖の故郷で、歴代の天皇が吉野に行幸するときは国栖の長老が侍講したと書かれていますので(←『儺の国の星拾遺』136ページです)、天皇家に「腹赤駒」の認識はあったと思っています。
多分、景行天皇にも?(腹赤の魚の逸話はこちらが有名かと。)

また、うろ覚えで恐縮ですが、何かの序文に、「馬の蹄があまねく行き渡るように○○(スメラミコトだったか大王だったかそんな言葉でした)の威徳(威光だったかも?)が世に行き渡りますように」と言う意味のことが書いてあって、「馬の蹄ってどういうこと?」と思っていたのですが、天翔る馬のことだったのか、と一人で納得しておりました。

話がそれまくってすみません。
『儺の国の星拾遺』の腹赤の話、誰かに言いたかったのです。
どうも失礼しました。


Commented by lunabura at 2016-12-21 23:48
大発見ですね。
是非とも、本の方に反映させていただきたいと思います。
星の話はやっぱり素敵です。


(以上「ひもろぎ逍遙2016年12月19日の記事へのコメント」より引用)

上のコメントで、「何かの序文に」と書いているのは『古事記』だ。元明天皇を称えている次の箇所。記憶がポーンと抜けていた。

紫宸に(いま)して徳は馬の(つめ)の極まるところに(かがふ)
(引用:『古事記』稗田の阿礼 太の安万侶 武田祐吉注釈校訂/青空文庫)

単に見落とされていたとのこと。
即座にご自身の著作に反映すると書かれている。

ここでちょっと気になったのが、ブログや掲示板のコメントは発言した人のものであるということ。(「2チャンネルと著作権問題」に詳しい。)
自分の考えか引用かを明確にすることは、最低限の事だと思っている。

それはそれとして、私自身「腹赤」についてずっと気になっていたので、一度整理することにした。
熊本県玉名市には「腹赤」という地名があり、宮中行事には「腹赤贄(はらかのにえ)」や「腹赤奏(はらかのそう)」がある。
こうも尊重される“腹赤”とは。

続く。